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静寂を切り取るコートハウス

2014.03.12

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今日から新築住宅の基礎工事が始まりました。
敷地は一等地と言ってもいいほど利便性に恵まれた素晴らしい場所。しかしだからこそ、逆にプライバシーの確保が非常にむつかしい場所でもあります。

敷地前面の道路は比較的幅広で一日中交通量の多いことが特徴。朝、夕はよく通勤・帰宅ラッシュも発生し、渋滞中の車内からは不特定多数の運転者からの視線が注がれるという立地。
また、敷地後方とお隣さんはそれぞれ背の高いアパートと大変立派で大きな住宅に囲まれているため、今回予定している平屋(一階建て)の住宅としては、この恵まれてはいるが、プライバシーの確保が難しい環境の中でいかにしてこの住宅に静寂を確保できるかが大きなテーマの一つとなっています。

設計のテーマが静寂だと言っても、住宅外部の騒音の遮断が最大の目的ではありません。

日々の雑多な忙しさの中、ひとたび家に戻れば、寂しい程の静けさがそこにはあり、しかしだからこそ、そこを住みかとする方々にとっては、寂しい程の静けさが、自分だけのスペシャルな安心感・解放感に変わるのだと思います。

コントロール不能なにぎやかさの中に恐怖や疲れを感じる事とは反対に、コントロール可能な寂しさの中では、確実に守られているという安心感や取り巻く環境からの深い解放感を得られるものだと思います。
松島良貴